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彫刻「泰治君の夢」について
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郷津晴彦
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作品No.0001-0004
初期の鋳造作品。ヒトの胎児そのものではありません。発生のいろんな段階を混ぜてあります。頭髪もあるし、浴衣も着せてあります。こめられているのは、あくまでも胎児の「おもかげ」です。
胎児は母親の胎内で、生命の「進化」の歴史をおさらいしているといいます。思い出せないけれど、その記憶は細胞の奥底に、誰もが持っているはずです。胎児は夢を見ている。夢野久作はそれを悪夢だといいました。私は悪い夢も、良い夢もあったろうと思います。
いま思えば、恩師故三木成夫先生の研究室で、双眼顕微鏡の先の胎児の標本をスケッチした日々から、これを作っている間は何かに憑かれたようでした。何かが私の中をとおり抜けていったあとに残ったのが、この作品であるような気がしています。
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