彫刻「たちあらわれるかたち」について

郷津晴彦 
作品No.0005-0006
 何でもないけれど、何にでもなれるかたち。そんな未分化な生命形態を思って粘土をこねていたようです。後になって何人かの人たちから、サンゴに似ているとか、蟻塚のようだとか言われました。自分ではそういった特定のモデルはまったく考えていませんでしたが、記憶の中のいろんなものが意識の下で混ざり合って、粘土をこねているうちに、かたちとなって出てくるのかもしれません。
 何種類かの比較的鉄分の多い陶土を、配合をいろいろに変えながら作った土を使い、登り窯で(松薪を焚いて)焼成しました。色の変化は、土の配合と、焼けぐあいによるものです。技法的には、いわゆる「焼きしめ」(釉薬をつけずに高温で焼成すること)にあたります。(協力中山穣。「後期」参照)


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